和紙を加工する技法で、栃木県小山市無形文化財に指定されており、奈良時代に弓削道鏡によって下野の国に伝えられたと言われています。しぼり紙は「悪をしぼり出す」と言われていることから、伝授の折には信仰的な意味も含まれていたようです。
紙衣(紙で作られた衣服のこと。もともと僧侶たちが愛用していたが、江戸時代には庶民の衣服の代表となる)や髢の材料としてもてはやされていましたが、時代の流れと共に廃れ、今では諏訪重雄から一子相伝で受け継いだ諏訪ちひろだけが、その技法を守り制作しています。
下野しぼり和紙は柿渋を施した和紙の型紙を使って作られ、手仕事によって生まれる風雅なしぼり目は、布のような手触りと時には木や革のような味わいを醸し出し、丈夫で色褪せず、様々な美術工芸の素材として使われています。
色調も様々で、ランチョンマットや額装してインテリアにも、優雅な雰囲気を醸し出します。