12/20(土)に開催いたしました「若盛 初しぼりの会2025」には、
年末のお忙しい中にもかかわらず、
本当に多くの皆様にご来訪いただき、誠にありがとうございました。
今回は、蔵・蒸溜所の開放に加え、
初の試みとして蒸溜所開放企画やクイズラリーを実施しました。
設備や仕込みの現場を実際にご覧いただきながら、
酒造りや蒸留について直接お話しできたことは、
私たちにとっても非常に貴重で、学びの多い時間となりました。
ご参加いただいた皆様との対話を通じて、
「つくる側」と「味わう側」が交わることで、
より立体的なものになることを改めて実感しています。
当日実施したクイズラリーの正解を、以下にまとめてご紹介します。
(全問正解者の方には、景品を追って郵送いたします)
ご参加いただけなかった方にも、当日の雰囲気を少しでも感じていただければ幸いです。
第1問|水量
設問
西堀酒造では、創業当初から湧き続ける井戸水を、仕込み水をはじめ、洗米・冷却・清掃に至るまで、すべての工程に使用しています。
では、1日に使われる水の量は、およそ何リットルでしょうか?
選択肢
A. 1,000L~5,000L
B. 10,000L~30,000L
C. 50,000L~150,000L
正解
B
解説
酒造りでは仕込み水だけでなく、洗米、冷却、設備洗浄など多くの工程で水を使います。
当社では、シーズンによりばらつきはありますが、蔵全体では1日あたり数万リットルの水が必要となります。
第2問|麹菌
設問
日本酒造りでは、酒造りの要となる「麹」を、この麹室で人の手と感覚によって育てています。
黄麹は、日本固有の「国菌」とも言われています。
では、酒造りに用いられる麹菌として存在しないものはどれでしょうか?
選択肢
A. 白麹
B. 黒麹
C. 赤麹
正解
C
解説
白麹・黒麹・黄麹はいずれも酒類製造で使われますが、「赤麹」は酒造りの麹菌としては用いられません。
白麹は主に焼酎、黒麹は主に泡盛で使われます。
第3問|釜場・蒸米量
設問
この釜場では、甑(こしき)と呼ばれる巨大な蒸し器を和釜に乗せ、毎朝およそ1時間かけて酒米を一気に蒸し上げます。
この甑で、1回にどれくらいのお米を蒸し上げているでしょうか?
選択肢
A. 約50kg~500kg
B. 約1,000kg~2,000kg
C. 約2,200kg~3,000kg
正解
B
解説
甑の最大容量は約2トンですが、蒸しの質を重視すると、1トン前後での使用が理想となります。
日本酒造りのシーズンは、ほぼ毎日米の蒸し上げから1日がスタートします。
当社の日本酒造りは10月から3月にかけておよそ半年間、寒い時期だけ製造する「寒造り」を行います。
第4問|透明タンク(LED発酵)
設問
この透明タンクは、発酵の様子を“見える化”するために特注で製作された、LED光照射発酵日本酒の仕込みにも使われる世界唯一の発酵タンクです。
では、この透明タンクによる仕込みで、まだ分かっていないことはどれでしょう?
選択肢
A. 醪の動きの規則的なパターン
B. 光の色で発酵速度が変わること
C. 光の色に応じて風味が変わること
正解
A
解説
光によって発酵速度や風味が変わることは確認されていますが、タンク内の醪の循環がどのような規則性を持つかは、現在も研究途上です。
第5問|文化財の煙突
設問
この煙突は、長年にわたり西堀酒造の酒造りを見守ってきた国登録有形文化財です。
では、この煙突について、正しいのはどれでしょうか?
選択肢
A. 以前は今よりももっと高かった
B. 東日本大震災で大きな亀裂が入った
C. 現在も使用している
正解
A
解説
この煙突は、かつてはより高い構造でしたが、時代とともに形を変えながら現在に残されています。
現存する大きな亀裂は、主に関東大震災(1923年)当時のものです。
現在は使用されておらず、国登録有形文化財として保存されています。
第6問|クラフトジン
設問
西堀酒造では、アランビックと呼ばれる小型蒸留器を使い、ボタニカルを用いたクラフトジンの蒸留体験を行っています。
では、西堀酒造のクラフトジン造りで、他にはないこだわりの要素はどれでしょう?
選択肢
A. 使用するボタニカルの種類の数
B. 浸漬時間と蒸留時間の長さ
C. 日本酒蔵由来のベーススピリッツ
正解
C
解説
クラフトジンは、一般的にニュートラルスピリッツをベーススピリッツにすることが一般的ですが、
当社では自社製の「クラフトウォッカ」を使用しています。(米、日本酒を原料とするもの)
清酒蔵として培ってきた発酵・蒸留技術を活かし、ベーススピリッツそのものから設計している点が大きな特徴です。
第7問|ウイスキーの思想
設問
西堀酒造・日光街道小山蒸溜所が目指す、ジャパニーズウイスキーの在り方はどれでしょう?
選択肢
A. 本場スコッチの味に忠実であること
B. 日本の酒造技術・文化・精神を映すこと
C. 原料や樽を極限まで絞り込むこと
正解
B
解説
スコッチの再現ではなく、日本酒蔵としての技術や精神を、ウイスキーという形で表現することを目指しています。
このコンセプトから出発し、清酒酵母100%での発酵、日本酒造りの「酒母」や「段仕込み」の応用、吟醸粉を使ったグレーンウイスキー、減圧蒸留技術の応用、国産木材を使った和樽熟成の取り組みなど、業界で唯一無二の製法に落とし込んでいます。
第8問|献上ウイスキー
設問
日光東照宮の御神木(日光杉)に由来する和樽で追熟した「献上ウヰスキー」を、正式に献上した先はどこでしょう?
選択肢
A. ホワイトハウス(米国)
B. ローマ教皇庁(バチカン)
C. イギリス王室(英国)
正解
B
解説
2025年9月、ローマ教皇レオ14世に向けて、
日光の精神性と日本の酒造文化を象徴するウイスキーとして、ローマ教皇庁に正式献上されました。
参考:https://nishiborisyuzo.com/whisky-tetsu-vatican-taiwan-20197.html
第9問|蒸留工程
設問
日光街道小山蒸溜所が、蒸留工程で最も重要視していることはどれでしょう?
選択肢
A. アルコール度数を高くすること
B. 蒸留回数を増やすこと
C. 沸点を適切に操作し香味を選び取ること
正解
C
解説
当社では、減圧蒸留が可能な、国産ステンレス蒸留器(銅板加工有)を使用しています。
その目的は、沸点の操作による吟醸香の適切な抽出です。
度数ではなく、どの香味成分をどの温度帯で取り出すかが、酒質を決定づけます。
第10問|グレーン(吟醸粉)
設問
西堀酒造のグレーン(ライス)ウイスキーの最大の特徴はどれでしょう?
選択肢
A. 高精米によって生まれる吟醸粉を使用
B. 大吟醸用清酒酵母のみを使用
C. 酒米品種に限定している
正解
A
解説
日本酒造りのシーズン、精米工程で必ず生まれる副産物の米粉。
その中でも、「吟醸粉」グレードに絞って贅沢に使用するグレーン(ライス)ウイスキーは、国内でも非常に稀です。
高精米によって生まれる米の中心部由来の吟醸粉を原料に使うことで、雑味の少ない繊細な香味を実現しています。



