酒造哲学 – Brewery Philosophy

創業以来の支えは、地元の皆様。

老舗企業として140年以上酒造業を続けてこられたのは、地元の方々の支えがあってこそです。
現在も、県内流通が9割以上の、地酒を主体とした酒蔵です。
地元栃木県では、大変多くの方々にお声がけや応援を頂き、今なお皆様に支えられ続けています。

当蔵の「門外不出」ブランドは、栃木県産、地産地消をコンセプトとした栃木の地酒です。
「地元の人に、地元の食にあったお酒を」という想いでスタートした銘柄です。
栃木の地酒として、「若盛(わかざかり)」とあわせて、当蔵の代表銘柄になっております。

内陸県である「栃木県」の郷土料理は、醤油や味噌で味付けした山菜や川魚、肉料理味の濃い料理が中心です。
そのため、しっかりした味付けの料理と一緒に嗜んでも負けない、濃醇系の酒造りを心がけております。

また、当蔵では毎年「若盛祭(わかざかりまつり)」という蔵開きイベントを開催しています。
地元の企業様や個人の方々も多数出店して頂き、毎回1000人以上の方々にお越しいただいています。
その他、日本酒をより身近に感じていただきたく、酒蔵内で様々なイベントを随時企画しております。

日本酒業界の発展と革新に向かうこと。

伝統産業である我々酒蔵には、「過去−現在−未来」の時間軸を見据えた使命があると自負しております。

・1000年来の先人達の努力の結晶を継承し、守るべきは守る。(過去)
・時代や環境の変化を是と捉え、時代に合わせた新たな創意工夫と価値創造を積極的に行う。(現在)
・日本酒文化の発展に向け、次世代に受け継ぐべく発信と普及に努める。(未来)

特に、現代においてどれだけ創意工夫と挑戦ができるかを重視しています。
なぜなら、我々が今恩恵を受けている技術は、先人達の試行錯誤の歴史の上にあるからです。

最新研究でも到達できていない領域や、未知の領域はまだまだ多く存在しています。
研鑽を怠らず、現代技術を積極的に活用して挑戦し続けることが、現代を生きる我々に託された使命です。

例えば、当蔵の「愛米魅 I MY ME(あいまいみー)」は、古代米100%の日本初(=世界初)の純米酒です。
既存の「日本酒」イメージを丸ごと覆すような見た目・色・味・香りを有しています。
Wild Rice Wine(古代米ワイン)という新領域を切り拓く商品です。

既存のカテゴリーにとらわれること無く、柔軟な発想と研究によって新たな酒造りに挑戦します。
独自の伝統技術を活かした、現代にふさわしい革新的な製品を創造します。

人の手づくりが生む、ものづくり。

日本酒は、工業製品ではありません。

世界のあらゆるお酒の中でも、工程や味、表現幅が最も複雑性に満ちており、人の手でしか造ることのできない領域があります。
他の酒類と比べても、最も人手と手間がかかる醸造酒です。

日本酒は、原料そのものよりも、造り手の技術によって全く異なる味わいになります。
とても「人間的」なものづくりの世界です。

だからこそ、人の手(技術)が重要になります。
「酒造りは人づくり」とも言われます。
醸造を通して蔵人は感性を磨き、創意工夫と試行錯誤を繰り返し、成長していきます。

「人の手によるものづくり」の価値を伝えることは、酒造として現代に存在する役目の1つです。

南部杜氏の名匠、継枝氏の伝承技術。

当蔵の醸造技術は、南部杜氏の名匠継枝氏が遺した技術が土台となっています。

継枝氏は、南部杜氏自醸清酒鑑評会で首席を2度受賞した唯一の人です。
氏が亡くなるまでの12年間、当蔵でその技術を受けました。
今なお、その知見と技術が当蔵の酒造りの基礎となっています。

最新科学や数値で測定できない領域、ここを司るのは人間の感性になります。
酒造歴60年の感性を現代に於いて伝承し、現代研究と併せてより磨きをかけていきます。

最大の核である仕込水を、徹底的に磨き上げる。

日本酒の成分の最大の核となる素材、それが仕込水です。
その地域に根ざした酒蔵は、その土地固有の水で酒造りを行います。
全国津々浦々の酒蔵が、これほどまでに多種多様な酒造りを行っている大きな理由はまさにここにあります。

当蔵の位置する栃木県小山市は、渡良瀬水系に位置します。
酒造りの隆盛を誇った明治期には、この近辺の地域はその水質から「関東の灘」とも称され、銘醸地として栄えました。
当蔵の井戸から湧き出る水は、酒造に適した良質な日光山系の伏流水です。

水質を活かした酒造りをすることは醸造設計上の最初の出発点です。
この水質が蔵の酒質の方向性を握っていると言っても過言ではありません。

当蔵では酒質の最大構成要素である仕込水をとても重要視しています。

汲み上げた水は、磁気処理により活性化させるだけでなく、さらに0.2ミクロンまで濾過して不純物を取り除くことにより、繊細できめ細やか、かつ発酵に適した仕込み水に仕上げています。

この水質を最大限活かした酒造りをすることが出発点となります。

磨き上げた仕込水を最大限活かした、濃醇旨口タイプの酒造り。

当蔵の酒は、しっかりと味のある濃醇(のうじゅん)なタイプの酒質が主です。

これは、日光山系の伏流水である仕込水が中硬水の水質であることに加え、徹底的に磨き上げたきめ細やかな水が米の旨味をしっかり凝縮することにも起因します。

目指すのは、「記憶に残る、一度飲んだら忘れられない味」。

米の旨味を引き立たせるため、麹歩合を高くした贅沢な造りを行っています。
味にインパクトを感じるため、味の濃い料理にも負けません。
特に肉料理や洋食との相性が良く、味の濃さに負けない旨味で食中酒として好評いただいています。

日本全国の酒米と、当蔵の仕込水が奏でる化学反応。

全国津々浦々、気候も変われば地質も変わります。
世界的にも恵まれた肥沃な土壌と水源を有する、日本。

酒造りのプロとして、全国の米作りのプロの方々が育てた優良な酒米を、最大限活かし醸造すること。
良酒を醸し、稲作農業、田園風景を守ること。

これらを大事にし、当蔵では地元栃木県産米のみならず、全国各地の酒米を使用しています。
日本全国の優良な酒米と当蔵の仕込水との出会いが奏でる、唯一無二の化学反応は造り手の醍醐味です。

当蔵の「西堀」ブランドは、全国の優良な酒米を最大限活かし、挑戦を続ける個性的な味わいのお酒です。

醸造は、自然の恵みの環境づくり

当蔵は、明治、大正、昭和、平成と1世紀半にわたって代々、蔵人達が醸してきた創業当時からの仕込蔵で酒造りを行っています。

ともすれば、最新技術の知見で以て、酒質を精緻に完璧にコントロールしようという意気を持つこともあるかもしれません。
しかし、実際に醸造を行ってみて分かることは、「人間の思うがままに100%コントロールできる」という淡い期待は簡単に打ち砕かれるということです。

あくまでも、我々人間ができることは、自然の恵みを受ける環境を整えること。

目に見えない「意志」ある膨大な微生物を制御下(under control)に置くという発想は、あくまでも自然界の一部に過ぎない我々人間にとって誤りであると気付かされます。
酒質の設計とは、あくまでも大まかな方向性を決めるものに過ぎないのです。

当蔵で醸したお酒の風味は、この蔵ならではの複雑な環境要因によって特徴的になります。
開放発酵により、約1ヶ月間にわたる発酵プロセスにおいて、蔵に棲む蔵付き酵母が入っていることの証拠でもあります。