目次
時代をつくる、酒造り。
1. 伝統と革新の酒造り
当蔵の酒造りの特徴。
それは、確固たる醸造技術を基にした「表現幅」と「自由度」です。
伝統的な製法から前衛的な製法まで。
伝統と革新の酒造りを支える思想として、
古くから茶道や武道の考え方でも有名な「守・破・離」を参考とした酒造りを行います。
守:伝統を守り、地酒文化を尊重したクラシックな酒造りを志向します。
破:当蔵の個性を育て、時代と呼応したモダンな酒造りを志向します。
離:新領域に挑戦し、未来へ向けたイノベーティブな酒造りを志向します。
守(Classic):
歴史文化を敬い、先人の技術と伝統の味を守るクラシックな酒造り。
◆若盛シリーズ
永らく地域に愛され、祭事や冠婚葬祭、地域社会とともに歴史を紡いできた日常酒シリーズ。
◆焼酎シリーズ
昔ながらの製法「せいろ蒸留」による粕取り焼酎等、日本酒蔵ならではの粕取・米焼酎シリーズ。
破(Modern):
受け継ぐ技術を基に現代と呼応し、当蔵の個性を育て発揮するモダンな酒造り。
◆門外不出シリーズ
銘柄の由来は「地産地消の栃木の地酒」。現在も9割以上が栃木県内で消費されている。
現代の多様な嗜好と食事に合った食中酒をコンセプトにしています。
◆西堀シリーズ
原料米や精米歩合、酵母など、原料にこだわり、「しっかりした」「旨味ある」当蔵らしい濃醇旨口タイプのシリーズです。
◆西堀 Pensées(パンセ)シリーズ
それぞれに設定された哲学的テーマの解釈をもとに、酒質設計を行い、逆算して原料や製法を決めていく「コンセプトファースト醸造」を行います。
当蔵の醸造技術の叡智と毎年の挑戦が融合したシリーズです。
離(Epoch-Making, Innovative):
後世に向けて先駆的に新領野を切り拓く、創造的かつ革新的なイノベーティブな酒造り。
◆愛米魅(アイマイミー)シリーズ
古代米100%の純米酒を軸とし、日本酒の可能性に挑戦した新領域のシリーズ。
◆CLEAR BREW(クリアブリュー)シリーズ
業界初の「透明タンク」による実験的かつ前衛的な醸造酒シリーズ。
◆伝宝石囲(でんぽういしがこい)シリーズ
1本単位で長期二段熟成を実現したヴィンテージ日本酒シリーズ。
2. 自由闊達なる酒造り
酒はそもそも「嗜好品」であり、世の中を彩り、楽しくするものです。
新しいチャレンジを良しとする「自由闊達なる酒造り」で、美味しさとともに驚きと感動を届けていきたいと思います。
酒米を使わない古代米100%の純米酒「愛米魅(アイマイミー) I MY ME」や、業界唯一のクリアタンク醸造酒「CLEAR BREW(クリアブリュー)」、世界初のLED色光照射発酵酒「ILLUMINA(イルミナ)」など、既成概念に囚われない新たな商品開発を行っています。
クラウドファンディングを通じた試験醸造や新商品開発を積極的に行い、挑戦を続けています。
また、定期的に行う様々なオリジナルイベント企画にも、世の中を面白く豊かにしたいという想いがその根底にあります。
「日本酒」という嗜好品を造る者として、世の中に彩りを与えられるよう今後も創造と挑戦を続けていきます。
3. 和魂洋才の酒造り
グローバル化と嗜好の多様化が加速する現代。
当蔵では、「和魂洋才」(古くは「和魂漢才」)の精神に則り、酒造りを行います。
つまり、日本古来の精神を大事にしつつ、古今東西の技術や叡智を活用し、両者を調和・生成発展させていく。
そんな「日本のものづくり」を、「和魂洋才の酒造り」で体現していきたいと思います。
当蔵の根幹技術は、世界で最も難しく、繊細な管理が必要といわれる「日本酒造り」です。
これを確固たる醸造技術として極め土台としつつ、
その技術を焼酎、リキュール、スピリッツ、ウィスキーなどにも応用し、日本の酒造りを生成発展させます。
AIやIoTなどの最新技術や研究事例も積極的に取り入れ、時代に即した現代ならではの酒造りに挑戦することこそが、
長期スパンの歴史的観点において、酒造文化の伝統継承に繋がるものと考えております。
地域とともに歩み、発展する。
1. 「地酒文化」を守る
当蔵の代表銘柄「門外不出」は、現在も栃木県内での消費量が9割以上の「栃木の地酒」です。
「地元の人に、地元の食にあったお酒を」という想いで平成に入ってスタートしました。
地酒「若盛(わかざかり)」とあわせて、当蔵の代表銘柄になっております。
内陸県である「栃木県」の郷土料理は、醤油や味噌で味付けした山菜や川魚、肉料理など、しっかりした味付けの料理が中心です。
当蔵の濃醇タイプの酒造りは、この地元料理と共に嗜むことを見据えています。
2. 地域社会の発展に貢献する
創業者が近江商人である当蔵では、「三方良し(売り手良し・買い手良し・世間良し)」の精神を大切にしています。
当蔵の創業以来の支えは、地元のお客様やお得意様をはじめ、数多くの農家様や取引先様、そして地域社会の多くの方々です。
老舗企業として150年以上、酒造りを続けてこられたのは、数多くの方々の支えがあってこそといえます。
毎年恒例の蔵開きイベント「若盛祭(わかざかりまつり)」は、より身近に酒蔵を感じてほしいという想いからスタートし、20年以上にわたって実施してきました。
地元の企業様・個人様にも多数出店・出演して頂き、毎回多数の方々にお世話になっております。
地域社会と共に歩み、報恩感謝を忘れること無く、酒造りを続けていきたいと思います。
日本の酒文化を世界に向けて。
1. 「過去−現在−未来」の時間軸で酒造文化を紡ぐ
日本の伝統産業の一つである酒蔵は、100年以上続く老舗企業の数が最も多い産業として有名です。
しかしながら、日本酒業界はピーク時の3分の1の量に落ち込んでおり、現在全国に1300ある酒蔵の数は年々減少しています。
今では、毎月約3蔵ずつ廃業のペースで、全国各地の酒造文化が年々失われているのが現実です。
だからこそ、常に酒蔵の在り方は問われています。
酒蔵には、「過去−現在−未来」の時間軸を見据える使命があると考えております。
【過去】:1000年来の先人達の努力の結晶を継承し、守るべきは守る。
【現在】:時代や環境の変化を是と捉え、時代に合わせた新たな創意工夫と価値創造を積極的に行う。
【未来】:日本酒文化の発展に向け、次世代に受け継ぐべく発信と普及に努める。
特に、次世代に向けて、現代の我々がどれだけ創意工夫と挑戦ができるかを重視しています。
なぜなら、我々が今恩恵を受けている技術や環境は、先人達の試行錯誤の歴史の上にあるからです。
この歴史的時間軸を念頭に、日本の酒造文化を継承し発展させていきたいと思います。
2. 日本の文化・精神を世界に伝える
2013年、「和食(Washoku)」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。
いま、世界各地で日本食文化が広がり、同時に日本酒の輸出量は年々増加しています。
一方、国内の日本酒消費割合は6%台にまで落ち込み、国酒とは何かを考える時期が到来しています。
たとえば、農林水産省による「和食」の定義では「自然の尊重」というキーワードが抽出されました。
つまり、単なるモノ(原材料)だけに囚われない、日本の文化・慣習・精神こそが重要ということです。
これは、日本酒にも当てはまる考え方です。
日本の酒造りの内奥には、日本固有の「ものづくり」精神があります。
たとえば、若者世代にも飲みやすいモダンな日本酒を造り、国酒・日本酒に触れるきっかけにしてもらう。
世界酒である蒸留酒類を日本の方法で造り、商品を通じて内奥にある日本酒を知ってもらう。
日本の酒造精神を土台としてお酒を造り、世界に向けて届けていくことで、
日本の酒造文化を世界に、そして未来に向けて伝えていきたいと思います。