日光街道 小山蒸溜所(詳細)

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日光街道 小山蒸溜所について

↓ウイスキー初プロジェクト

2022年春、栃木県初のウイスキー蒸溜所として当蔵の敷地内に「日光街道 小山蒸溜所」が誕生しました。

今後新たにウィスキー製造を開始し、あわせてウォッカやジンなどのスピリッツ製造をして参ります。
当蔵敷地内の既存蔵(旧精米蔵)を基に、その木造建築の味わいを残しながら製造設備を導入し、蒸溜所として改築しました。

目の前で蒸留作業を見ることが出来るとともに、古今東西の技術を独自発展させる、日本の酒造り文化を体感できる見学ルートも併設しています。
國酒・日本酒を醸す酒蔵ならではの醸造技術を土台として、国産蒸留酒の製造に取り組んでまいります。

※蒸溜所の概要について、下記ご紹介いただいております。

清酒酵母でつくるウイスキー 日光街道小山蒸溜所(前編)♯61

清酒酵母でつくるウイスキー 日光街道小山蒸溜所(後編)♯62

蒸留酒の製造について

①「清酒酵母」で醸す(発酵)

当社の蒸留酒製造においては、日本酒蔵というルーツに即し「國酒・日本酒の醸造技術を取り入れること」をポリシーとします。
当社の蒸留酒製造の発酵工程においては、純国産である「清酒酵母」を使用します。
また、それに伴い日本酒造りの発想を取り入れた特殊仕込みを行います。

もろみ・ウォッシュ(wash)における発酵の主役は言うまでもなく酵母です。
酵母は、種類によってその発酵能力や香気成分が異なり、種類によってウォッシュの成分組成が大きく変化します。
この発酵工程を通じて、蒸留前の土台成分が決定するため、非常に重要なプロセスとなります。

ウイスキー製造では、海外産のウイスキー酵母を使うことが一般的です。
一方、清酒酵母を使ったウイスキー製造方法は、未だ確立されておらず業界にも公開知見は存在しません。

しかしながら、自国の酵母で醸すことは「日本産」クラフトスピリッツとして重要な要素だと考えます。
だからこそ、敢えて清酒酵母を使うことにこだわり、またそこに挑戦することに意義を見出しております。

当初は失敗の連続でしたが、試行錯誤を繰り返し、清酒酵母に適した特殊仕込みの方法論が確立しつつあります。

②常圧/減圧のハイブリッド蒸留(蒸留)

本蒸溜所で使用する蒸留器は、内部に銅板を貼って改造した国産ステンレス製蒸留器を採用しています。

ウィスキー製造においては、銅製のポットスチルが一般的と考えられていました。
歴史的に、ステンレス鋼が発明される以前、「銅」は加工しやすく熱伝導率も高い金属だったということや、銅には硫黄化合物を吸収する能力があり、蒸溜中に様々な化合物が接することにより、エステル(フルーティな香り)が生まれてくることなどが銅製ポットスチルが多い主な理由です。

しかし、蒸留器の選定において、
「清酒酵母の特徴(香り等)を最大限引き出すにはどうすればよいのか?」
「そもそも、本当に銅製のポットスチルが最善なのか?」

と再度改めて従来の蒸留器の目的と原理を検討しました。

そして、従来の銅製ポットスチルでは不可能な「減圧蒸留」を組み合わせることは独自の風味を引き出す効果的な方法であると確認し、さらに内部に特殊形状の銅板を貼って改造することで、従来の銅製スチルの目的は十分達成され得ると考えました。

本蒸留器は、「常圧蒸留」と「減圧蒸留」のハイブリッド蒸留が可能であり、沸点の自在な操作によって成分の取捨選択が可能となります。
また、加熱方式も直接蒸気・間接蒸気どちらも併用することができるため、その組み合わせから独自性のある風味生成を追究していきます。

本蒸留器では、この汎用性からウィスキー以外のウォッカやジンなどのスピリッツ製造にも適しています。

③日光山系の自然伏流水(仕込水)

蒸留酒において、仕込水を表す「母なる水(mother water)」や、ウイスキーの語源にもなる「生命の水(aquavitae)」など、水こそが最も重要なものと考えられているといっても過言では有りません。

当蔵は創業以来、敷地内の井戸から湧き出す日光山系の自然伏流水を酒造りに使用してきました。
世界遺産を擁する名勝地・日光から栃木県南部に注ぐ伏流水は、発酵に必要な適度な硬度を有しており、当蔵の水質は「中硬水」となります。

一般的に、ウイスキーは軟水で仕込まれることが多いですが、中硬水で仕込んだ銘柄はスイートでフローラルな香りが特徴のものが多いとされています。

この仕込水を活かした本蒸溜所における蒸留酒は、スイートでフローラル、ソフトな酒質となる見込みです。

※創業当初から現在も使用している井戸

※醸造を司る二荒山大神が祀られる日光二荒山神社。源泉の「二荒霊泉」の御神水(報醸祭の様子)

蒸留酒の商品開発について

※製造作業の様子(一部)

蒸留酒に使用する穀類(一般的にはトウモロコシや小麦等)については、酒米を磨いた際に出る米粉を原料として使用します。

①自社蒸溜所にて麦芽100%で発酵、蒸留させるシングル・モルト・ウイスキー ※製造・熟成中
②自社蒸溜所にて麦芽と米粉で発酵、蒸留させるシングル・グレーン・ウイスキー ※製造・熟成中
③清酒酵母で発酵、蒸留する国産スピリッツ(クラフトウォッカ、クラフトジン) ※ウォッカは販売中

を製造します。

また、ウイスキーについては、上記の①シングル・モルト②シングル・グレーンといった王道ジャンルだけでなく、
・ニューポット
・ニューメイク
・ブレンデッド・ウイスキー
など、ウイスキー業界特有のヴァッティング、ブレンディングにも取り組み、技術研鑽を図ってまいります。

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