目次
新時代の、哲学日本酒。
”ようこそ、探究の世界へ。”
毎年進化を続ける、コンセプトファーストの「解釈学的」日本酒。
「嗜好」と「思考」を同時に味わう、至高の体験をあなたに提供します。
<概要>
酒造りは哲学と同様、永遠に探求し続ける「終わりのないもの」であり「常に探求するもの」です。
本シリーズでは、まず各々の哲学的概念を解釈し、味のイメージを設定してから、味わいの実現のために逆算してスペックや醸造方法を決めます。(コンセプトファースト)
さらに、年度ごとにテーマを再解釈しアップデート(更新)していきます。(解釈学的醸造)
年度別の醸造の歴史を積み重ねる、“探究”のシリーズです。
※ラベル表面の「西堀」の凸凹表示(エンボス加工)は、「しっかりと本質を見つめる」という意味を込めており、哲学的探求を意識したラベルにしています。
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※随時更新予定
西堀(Nishibori)パンセ(Pensées)シリーズ
『コンセプトファースト×解釈学的醸造』
書:筑井 舞 様
本シリーズは、各商品で設定する哲学的概念(Philosophical Concept)について、
毎年造り手が解釈するイメージをもとに設計・醸造します。
酒造りは、哲学や芸術の世界と同じく「解なき探究」そのものです。
造り手の探究プロセスそのものを具現化したシリーズになります。
各種類のテーマをもとに提示される、「暫定解・テクスト」を自由にお楽しみ下さい。
あなたの嗜好の探究を思索とともにどうぞ。
※パンセ(Pensées)は、フランス語で「思考」の意。
※一般に、パンセ(Pensées)の語はフランスの哲学者ブレーズ・パスカル(Blaise Pascal)の遺稿集の題で知られる。
1. コンセプトファースト
「スペックファーストからコンセプトファーストへ」
本シリーズでは、スペック依存型醸造ではない「コンセプトファースト」の醸造を目指します。(特定名称酒分類非表示)
原料米の品種、特定名称酒分類、精米歩合、種麹や酵母の品種、酒母製法のタイプなど、「スペック(規格)」を軸とした商品が当蔵の旧来シリーズを含めて一般的です。
一定程度のカテゴライズによって価値判断が容易になる反面、日本酒という嗜好品そのものの表現幅を収斂させてしまう働きとなっていることもまた事実ではないでしょうか。(たとえば、”本醸造酒”や”純米酒”等を想像してください)
元来、特に日本酒は、実に多様な表現幅を秘めた醸造酒です。
パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)の有名な語に、
It took me four years to paint like Raphael, but a lifetime to paint like a child.
(ラファエロのように描くには4年かかったが、子どものように描くのには一生涯かかった。)
というものがあります。
写実性と理想美の最高峰とも呼ばれるルネサンスを代表する画家ラファエロ(Raffaello Santi)。
彼の時代から400年の時を経て、写実性の極致とも言える写真機が登場した時代に生きたピカソが目指したものは、子供のように描く彼独特の新たな表現の創造でした。
芸術の歴史は、新たな表現幅への挑戦の連続です。
そして、工業製品ではない嗜好品、日本酒醸造の世界も芸術の世界に親しい存在であると思います。
そこで、造り手としての「こんな酒を造ってみたい」という純なる思いから出立する原点に立ち返りました。
すなわち、スペック(規格)依存の発想を一旦エポケー(判断停止)し、日本酒造りの特性(醸造プロセスの複雑性)を活かした「コンセプトファースト」のシリーズに挑戦します。
2. 解釈学的醸造
「毎年、新たな解釈と設計を行う創造的醸造方式」
本シリーズでは、醸造年度(BY)毎に新たに解釈を行い酒質設計し、進化を続ける「創造的醸造」を目指します。
飲んだら終わり、すなわち物としての「唯一性」を有す日本酒。
工業製品とは異なり、醸造における100%の再現性が原理上不可能な「一回性」を有す日本酒。
季節や熟成期間、飲み方や燗酒等の温度によっても味が変遷する「無常性」を有す日本酒。
日本酒は、日本文化特有の「流転的創造様式」をフィジカルに体現することができる日本文化の代表的産品であると考えます。
ワインの世界では当たり前ですが、年度毎に酒質変化する「醸造年度」の概念が日本酒の世界にはまだまだ浸透していません。
ワインは、原料(ぶどう)の質が最終製品に与える影響度が多くを占めるとよくいわれます。
そのため、その年度の気候や生育環境、土壌などの農業的側面が非常に重要視されます。
しかし、日本酒の場合、原料(米)以外の複雑な工程の要素(麹、酒母、醪、搾り等の造り方)が多分に最終製品に影響を与えます。(そもそも、日本酒の最終製品の組成の約80%が「水」です)
つまり、日本酒は毎回毎回の醸造で「どう造るか」という醸造者の意図・酒質設計に多くを依存します。
そういう意味では、「日本酒の酒質は造り手(の意図・酒質設計)由来である」と言えるかもしれません。
また同時に、長らく酒造好適米として多く扱われた「質としての酒米」から、各地域の米で醸すという「ポリシーとしての酒米」の流れが到来しています。
これは、日本酒の世界にもようやく「醸造年度」のような「一回性」の概念が浸透していくことを予感させます。
1000年来の歴史の中で、先人達はその時代時代の叡智を駆使してお酒を醸してきました。
「毎年が一年生。」という昔からの杜氏達の合言葉が表すように、日本酒造りは毎年(毎仕込み)リセットされるものです。
毎年毎年、創意工夫して新たに醸すお酒は、いわば「暫定解」そのものです。
哲学や芸術の世界と同じく、酒造りの世界には「絶対的な正解」がありません。
酒造りは”終わりなき探究”であり、進化を続ける動的な運動そのものです。
各種類のテーマを解釈し再定義し、醸造する、当蔵の各年の「暫定解」をお楽しみ下さい。
◆西堀 パンセシリーズ Physis(ピュシス)
《希》宇宙/自然 ; 当蔵の基軸の酒質、「ありのままの自然」を表現
“自然”と”変化”を感じる穏やかな風味, バランス型, 旨味感じるやや辛口
【ピュシス(Physis)について】
「自然・宇宙」がコンセプトの本商品は、従来のお酒のベースの味わい、「基軸の味わいをありのままで表現すること」を目指して醸造しました。
当蔵のベースは「濃醇旨口」であり、全ての基礎はここから始まると考えました。まず芯を決め、どの方向性へ動かすか、探求のスタート地点と考え、シリーズ第1弾にふさわしいピュシス(Physis)というお酒をリリースしました。
探求を開始する、当蔵の現在の技術・味わいを感じてほしいと思います。
自然を見よ。そして自然が教える道をたどっていけ。(ルソー『エミール』)
【Message】
ピュシス(Physis)とは、「自然」や「宇宙・世界の根源」を意味する。
古代ギリシャ哲学の世界において、初めて主題となった。
”永遠不変なる真理の追究”という哲学的姿勢。
それは、この「ピュシス」についての思索から始まった。
本商品は、当蔵の基軸の酒質を「ありのままの自然」として現出することを目指した。
我々が認識できるのは、表層の具体的事象である。
温度、時間、空間、あらゆる方向性から表情の変化を体感し、その内奥に横たわる「ピュシス」を探究してほしい。
さあ、探究を始めよう。
・2020”International Wine Challenge ブロンズ(BRONZE)受賞
◆西堀 パンセシリーズ Vital(ヴィタール)
《仏》生命 ; 生命の躍動と飛翔「élan vital(エラン・ヴィタール)」を表現
生命の息吹を感じる躍動的な風味, 特徴的酸味, シックな辛口
【ヴィタール(Vital)について】
「生命」がコンセプトの本商品は、酵母の生き生きとした状態、発酵を優先させた「躍動的でシックな辛口」をイメージして醸造しました。
発酵力の強い酵母を使用し、健全な発酵を心がけて造りました。
旨味がのりつつも非常にキレがよく、飲み飽きしないような、酒好きの方にはぴったりなお酒です。
生命の息吹を感じ取り、明日への活力にしてほしい、そんなお酒です。
あらゆるものが一個の全体を織り成している。ひとつひとつが互いに生きて働いている。(ゲーテ『ファウスト』)
【Message】
フランスの哲学者ベルクソンは、「élan vital(エラン・ヴィタール)」すなわち“生命の躍動”を想定し、独自の進化論を提唱した。
麹菌や酵母といった微生物をはじめ、米などの植物は「創造的進化」の顕れである。
酒造りを行う我々人間もまた、「創造的進化」のフロー(流れ)にいる。
本商品は、生命の息吹を感じる、躍動的な味わいを目指した。
生命のエネルギーを感じ取れ!
◆西堀 パンセシリーズ Libre(リブレ)
《西》自由 ; 無数の微生物の「自由意志の尊重と解放」を表現
自由闊達で情熱的な風味, 快活な甘味と酸味, 爽やかな甘口
【リブレ(Libre)について】
「自由・解放」がコンセプトの本商品は、その解き放たれたイメージから、「爽快な甘口」をイメージして醸造しました。
爽快さを実現するため、同時に自由な醸造をも体現するために、従来の麹造りや酒母造りとは異なる方法で造りました。
従来の日本酒とは異なる「特徴的な酸味」が楽しめます。
サッパリとした味わいを体現した、モダンなお酒です。
世界歴史は自由意識の進歩である。(へーゲル 『歴史哲学』)
【Message】
リブレ(Libre)とは、「自由」を意味する。
フランス革命の標語は、「自由、平等、博愛」であった。
国家を突き動かすほどの力を持つ、人類普遍の一大テーマ、それが「自由」だ。
自由とは何か。
我々は、本当に自由といえるのか。
本商品は、酵母をはじめ無数の微生物の自由意志を尊重・解放した。
自由意志を持つのは、人間だけではない。
活き活きとした、解放感あふれる快活な味わいを目指した。
微生物の自由意志を体感し、己のポテンシャルを解放せよ!
◆西堀 パンセシリーズ Philia(フィリア)
《希》愛/友愛 ; 優しく包み込む「愛に満ちた味わい」を表現
穏やかでふくらみのある風味, ふくよかな甘味, 旨味感じるやや甘口
【フィリア(Philia)について】
「愛」がコンセプトの本商品は、「優しく包みこむふっくらとした味わい」をイメージして醸造しました。
味わいは、バランスがよく甘みがあり、とはいえ、ダレることなくキレがある、上品な味わいです。
飲む温度帯で表情が多様に変化するので、優しい味わいから厳しい味わいまで伝わってくる、“愛に満ちた“お酒です。
愛の光なき人生は無価値である。(シラー『語録』)
【Message】
フィリア(Philia)とは、「愛」を意味する。
古代ギリシャの哲学者、アリストテレスが特に強調する概念である。
古今東西変わることのない人類普遍のテーマ、それは「愛」。
産業技術が発展し、社会構造も目まぐるしく変化する日進月歩の現代社会。
ともすれば家族兄弟友人への愛を忘れ、日々のタスクに忙殺されがちな現代人も多いのではなかろうか。
現代人こそ、より一層「愛」の領野に身を置くことが必要だ。
本商品は、愛を込め、優しく包み込むふくらみのある味わいを目指した。
さあ、やさしい抱擁と癒やしの中に身を委ねよう。
◆西堀 パンセシリーズ Kalon(カロン)
《希》美 ; 華美過ぎることのない「美しく逞しい生き様」を表現
強い足腰を想起させる風味, ゴージャスな甘味, 充溢した濃厚な甘口
【カロン(Kalon)について】
「美」を意味する本商品のコンセプトは、「洗練された、派手過ぎることのない、芯のある足腰の強い美しさ、逞しさ」をイメージして醸造しました。
酵母は華やかなものを使用しつつ、味はしっかり出るようなお米を使用したので、奥行きのあるゴージャスな味わいに仕上がりました。
飲みごたえのある、美味しいお酒です。
音楽なんて何になる? 絵画なんて、何の役に立つ? [中略] 真に美しいものは、何の役にも立たないものに限られる。有益なものは、すべて醜い。(テオフィル・ゴーチェ『モーパン嬢(上)』)
【Message】
カロン(Kalon)とは、「美」を意味する古典ギリシア語である。
過去数千年、数多の哲学者が論じてきたこの概念は、「真」や「善」と並ぶ最重要テーマの1つだ。
「美」は、芸術やアートの世界に限らない。
「生き方の美しさ」も美の在り方であるし、美の概念は哲学史においても実に幅広い。
本商品は、華美過ぎず、強い足腰を想起させる味わい、言うなれば「美しく逞しく生きる姿」を目指した。
瓶から溢れだす「美」のテーマとともに、あなたの生き様を見つめてみよう。
<備考>
※本シリーズは、各年において少量限定生産のため、無くなり次第終了となります。
※在庫状況等、詳しくは下記リストの販売店様にお問い合わせください
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